ねこ

なにかにつまづいた


ていうか蹴った


慌てて体制を整えて、振り返って足元を見る

「やだ。ごめんね!」


真っ黒な猫だった


びっくりしたのはお互い様みたい

私をじっと見ている


「おまえが横切ろうとするから振られたのかなぁ」


手を伸ばしても逃げる様子がない


抱き上げようと一歩前に出ると

のどを鳴らしてすりよってきた


「なつっこいのね。飼い猫かな」


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