緑の君~月下の森~Ⅰ
ふらつきながらベンチに座ろうとしたがめまいがする。
バランスを崩して倒れる。
目の前は真っ暗だった。
確実に痛みが来るはずなのに何もわからなかった。
視界がはっきりすると、体にはキラキラと光るものがついていた。
それをたどると林の中に…。木の上につながっていた。
目をしっかり開けると、緑に輝く髪が見えた。
キラキラしたものは切れていた。
思わず抱きついた…。
「緑の君!」
頭を撫でる彼は…。体を離した。
「さゆり…。さよならしよう。」
「えっ…。なんて?」
「小さな蜘蛛覚えてる?」
「うぅん…。」
さゆりは覚えていなかった。
「花の中に降ろしてくれた…。踏まれそうだったの手でふさいだろ?」
さゆりは教室で小さな緑の蜘蛛を見つけたのを思い出した。踏まれそうだったので、咄嗟に手を出したのだった。
たしか花蜘蛛だった。
「それが…。俺だよ。」
「で…でも。何で私のところに…。」
微笑みながら
「さゆりの願い…。一つだけ叶えてあげる。」
一つだけ…。
さゆりは黙ってしまった。
「一年前は人形に成れなかった。やっと妖力を得てここに来た。掟で借りは作らない。君のところに来たのはその為。でも傍にいると、あの人塩かけようとするから参ったよ。」
「おばあちゃん?でも私にしか…。もしかして!急にいなくなったのって…。」
「しっ!」
口に手を当てられる。
人が…誰か来そうだった。人の声はだんだん通り過ぎていく。
綺麗な瞳が見えた。
「さゆり、願いを言って…。」
願い…。願いは一つだけ…。何を言おうかなんて考えることもない。
「一緒にいてください。ずっと…。守ってください。」
「さゆり、何故さゆりが…。」
さゆりはそれ以上言わないように口に手を当てた。
「私の血を食べたのは毒が入っていたから。仕方なくでしょ?そうしないと私は死んでた。違う?」
「でも…。いつかあの時のように自分を見失う…。そしたら…。」
バランスを崩して倒れる。
目の前は真っ暗だった。
確実に痛みが来るはずなのに何もわからなかった。
視界がはっきりすると、体にはキラキラと光るものがついていた。
それをたどると林の中に…。木の上につながっていた。
目をしっかり開けると、緑に輝く髪が見えた。
キラキラしたものは切れていた。
思わず抱きついた…。
「緑の君!」
頭を撫でる彼は…。体を離した。
「さゆり…。さよならしよう。」
「えっ…。なんて?」
「小さな蜘蛛覚えてる?」
「うぅん…。」
さゆりは覚えていなかった。
「花の中に降ろしてくれた…。踏まれそうだったの手でふさいだろ?」
さゆりは教室で小さな緑の蜘蛛を見つけたのを思い出した。踏まれそうだったので、咄嗟に手を出したのだった。
たしか花蜘蛛だった。
「それが…。俺だよ。」
「で…でも。何で私のところに…。」
微笑みながら
「さゆりの願い…。一つだけ叶えてあげる。」
一つだけ…。
さゆりは黙ってしまった。
「一年前は人形に成れなかった。やっと妖力を得てここに来た。掟で借りは作らない。君のところに来たのはその為。でも傍にいると、あの人塩かけようとするから参ったよ。」
「おばあちゃん?でも私にしか…。もしかして!急にいなくなったのって…。」
「しっ!」
口に手を当てられる。
人が…誰か来そうだった。人の声はだんだん通り過ぎていく。
綺麗な瞳が見えた。
「さゆり、願いを言って…。」
願い…。願いは一つだけ…。何を言おうかなんて考えることもない。
「一緒にいてください。ずっと…。守ってください。」
「さゆり、何故さゆりが…。」
さゆりはそれ以上言わないように口に手を当てた。
「私の血を食べたのは毒が入っていたから。仕方なくでしょ?そうしないと私は死んでた。違う?」
「でも…。いつかあの時のように自分を見失う…。そしたら…。」