王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
ヒーローの定義
「あ……」
放課後、掃除中ぼんやりしていたせいで、ひかりにゴミ捨てを押し付けられた。
……ただちょっとしんみりしちゃってただけなのに。
ゴミ箱を引きずりながら、すでにみんなが帰った後の教室に戻る。
そして、カバンを持って玄関に向っていた時。
片手にゴミ箱を持った田口が見えた。
左手を首からつってるせいで両手が塞がっていて、見るからに危なっかしくて思わず声をかける。
「手伝うよ。どこのゴミ箱?」
言いながらゴミ箱を奪うように持つと、田口が驚いた顔をした後笑う。
「篠原か。一瞬、充かと思った」
「ミツ、結構おせっかいみたいだからね」
「似てるよ、おまえら。さすが幼なじみ。
おせっかいだし、遠慮してもきかねーしってとこが似てる。
化学室まで頼むわ」
なんだかあまり嬉しくない事を言われて、複雑な気持ちになりながら田口の隣を歩く。
生徒がほとんどいなくなった校舎に、あたし達の足音が響く。