王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
怒られるように言われて、ぼそぼそと返す。
さすがに助けられてるこの状態で、言い返す気にはなれなかった。
「充は本当にスーパーマンだなー」
「……やめろ。そのサムい名詞」
「だってそーじゃん。篠原のピンチには必ず駆けつけてるヒーローじゃん」
田口に言われて気付く。
確かに、あたしいっつもミツに助けられてる気がする。
階段から落ちそうになった時だけじゃなくて。
自転車とぶつかりそうになったりだとか、荷物が多くて困ってた時とか。
ちょっと困ったなって思うときには、いつもミツが文句言いながら助けてくれてた……?
……あれ? なんでだろ。
思い出せば思い出すだけ、いつもミツに助けられてた気がする。
……いつもいつも。
ぽかんとしながら見ていると、ミツは顔をしかめて、あたしの顔を片手で覆う。
「なに見てんだよ」
「別に見てたっていいじゃん! っていうか、メイクが崩れるっ!」
「そんなしてるかどーかも分かんねーような化粧崩れたって問題ねーだろ」
「あるってば! 自信の問題なの!」