王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「……抱き合いながらケンカすんのやめれば?」
「「は?!」」
田口を見てから、視線を戻す。
……と、至近距離で向き合ってることに今さら気付いた。
ミツの手が、あたしの両腕を掴んでて、あたしはミツの制服を握り締めてて―――……。
「……わっ」
びっくりしてミツの胸を押すと、身体がぐらついた。
よく考えてみれば、あたしのすぐ後ろは階段で、あたしは自らそこに転がり落ちようとしてる感じで……。
「……っ!!」
ひやっとした時、ぐいっと引っ張られて、ミツの胸にぶつかった。
「おまえっ、ホントに危ねーだろっ! 何回落ちるつもりだよっ!」
「ご、ごめん……」
今度こそ、本当に抱き締められて、さっきまでの緊迫も手伝ってそれ以上言えなくなる。
それに……、こんなに近いミツは初めてで。
ドキドキが治まらない。