王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「ミツ、部活ないのになんでいたの?」
ゴミ箱を無事化学室まで届けた後の、ふたりでの帰り道。
オレンジ色の夕日が、ふたりの影を長くする。
隣を歩くミツに聞くと、ミツは無表情のまま答える。
「関係ねーだろ」
「けど……」
「帰んだろ、早く歩け」
ちゃんと答えてもらえなくて、不貞腐れながら歩いてたけど、ある事を思い出して立ち止まった。
「あ、あたし、お母さんに買い物頼まれてたんだった!」
「どこ寄んの? スーパー?」
「ううん。そこの雑貨屋さん。今日、パスタだから」
ミツが、「ああ」って言った後、少し微笑む。
「おばさんの作るパスタ、うまいよな。
俺も久しぶりに食ってくかな」
お母さんが作るパスタは普通のパスタよりも太めの麺がこつ。
そのパスタは、輸入品を扱ってる雑貨屋さんにしか売ってないから、それを頼まれたんだけど。
魚介を入れたトマトパスタは、小さい頃からあたしとミツの大好物だ。