王子様の恋愛事情【LOVEﾄﾞﾛｯﾌﾟｽ企画作品】

「あ、これ……」

「あー、明日香の部屋に人形がある“林檎ナントカ”か」


立ち止まったあたしに気付いたミツが、あたしがいる場所まで戻ってくる。

そして、キーホルダーがたくさん掛かっているボードを見て言う。


「林檎うさぎだよ。林檎まで出たなら見た目で分かるじゃん」

「今は似たよーなキャラばっかで見分けつかねーもん」

「ミツは昔からこういう流行のキャラって興味ないよね。

分かるのは、スポーツメーカーとかサッカーチームくらいだよね」

「男はそれぐらいでいーんだよ」


ミツが、林檎うさぎのキーホルダーをひとつ手に取る。

うさぎのベビーバージョンのキーホルダーは最近出たばかりで、初めて見ただけに、なかなか目が離せない。

こないだ雑誌に載ってるのを見てからずっと欲しかったキーホルダー。


「……欲しいのか？　これ」

「えっ、あ、ううん」


チラっと見上げた途端、目が合うからびっくりして答えた。

欲しい、なんて素直に言ったら絶対にバカにされると思ったからそう答えたのに。


ミツは少し不満げに「あっそ」なんて言う。