王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「おまえ、そんな事でケンカ売ったのか?」
「だって、ひどい言い方してたんだから!
『顔だけだ』とか『性格悪い』とか『女ったらし』だとか!」
「……それ、おまえもよく言ってるけど」
「あたしはいいけど、人が言ってるのはムカつくの!
それに、男のくせに陰でコソコソ悪口言って、その後はなんでもない振りしてミツの後くっついて!
あんなの、男じゃないもん。殴りかかるのだって、全然怖くなかったし」
ふん、と息を荒くしながら言い切ると、ミツは笑うようにため息をついてから言う。
「おまえは怖くなかったとしても、後から聞いた俺は怖かった。
殴り返されてたらどうすんだよ。
女なんだからもっと自分を大切にしろよ」
「……ミツにはちっとも大切にされてないけど」
半分照れ隠し、半分本音の言葉。
笑いながら歩いていると、ミツが立ち止まっている事に気付いた。