王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「『言ったろ? 俺、最後が好きなんだって』って、なにコイツ。バカじゃねーの」
「いいでしょっ! 二次元の世界の話だもん!
あたしだって、現実ではありえないって事くらい分かってるし、その上で読んでるんだからいいじゃん。
ミツだって人殺すゲームやってるじゃん」
「あれは―――……」
「いい加減にしなさいっ!」
ヒートアップしてきたところで、勢いよくドアを開けたのはお母さん。
一瞬にしてシーンとなったあたし達を見て、お母さんはおおげさなため息をついてから言う。
「何度呼んでも下りてこないんだから。
ご飯できてるから食べなさい」
「「……はい」」
あたしとミツの声が重なる。
言い合う度に、それを止めるのはあたしかミツのお母さんだった。
小さい頃から変わらない、日常のヒトコマ。
それがなんとなくおかしくて、嬉しくて。
階段を下りながら思わず口許が緩んだ。