王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
ミツのイジワルな笑顔とか、たまに見せる優しい顔だとか。
そんなのばかりが頭を占領するから、それ以上何も考えられなくなった。
結局、ミツとも孝太とも話さないまま放課後になって、ひとりトボトボ歩いて下駄箱を開けた時。
靴の上に置いてある、小さな紙袋に気付いた。
「なにこれ」
手にとって、裏を見る。
けど、何も書いてないし、誰から誰あてなのかも分からない。
……でもあたしの下駄箱に入ってたんだし、開けてもいいんだよね?
戸惑いながらも紙袋に貼ってあるテープをはがして中身を手のひらに落とす。
「……これ、」
手のひらに転がったのは、林檎うさぎのキーホルダー。
あたしが欲しがってたモノ。
もう一度紙袋を見たけど、やっぱり送り主の名前はなかった。
頭に浮かぶのは……、ミツ。と、孝太。
孝太とは、雑誌を見ながらコレが欲しいって話した覚えがある。
それを覚えていてくれて、今度買いに行こうって言ってくれてたし……。