王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「まぁ……、はっきり言えば気に入らない。明日香が一番仲のいい男だし」
「……」
「つーか……ごめん。順番間違えた。
もう気付いてるかもしれないけど、俺、明日香が好きなんだ。
だから、俺と付き合って欲し、」
「―――付き合わない」
告白が終わらないうちに答えると、孝太がぼう然としてから笑う。
「えっと……?」
「付き合わない。ごめんなさい。これも返すから」
「……なんで?」
キーホルダーを差し出すと、孝太はそれを一瞬見た後、顔をしかめて聞く。
あたしに好意を持っていてくれれば、ミツが邪魔な存在に思えてくるのは当たり前なのかもしれない。
悪口だって、言いたくなるのかもしれない。
あたしだってたまに、ミツの事が好きな女の子から呼び出されたり、悪口言われたりする。
孝太のも、それと一緒だ。
好きなら、仕方ない事。
……けど。そうだとしても、聞き逃せなかった。
口を開くとイライラした気持ちが全部出ちゃいそうだから黙ってると、孝太が更に聞く。
「俺、崎本より優しくする自信あるし、大切にするよ。
いきなり付き合うのがイヤなら、しばらく友達としてでも、」
「そんなんじゃなくて……、孝太が、ミツをバカにしたから」
「え?」
秋の少し冷たい風が屋上をなでるように吹いていく。
立ち上がってから、孝太を見た。