王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「ミツの事、バカにしたでしょ」
「だってそういう噂多いから、あいつ。
『タラシ』だとか『すぐ女ポイ捨てしてる』とか。
一緒にいたら、明日香までイヤな思いするんじゃないかって心配になって」
孝太が、小学校の時殴りかかった男子と重なる。
その時感じたイライラまで思い出してきて、孝太から目を逸らした。
「そんなの、ただの噂だよ。
ミツは、タラシでもないし、ポイ捨てもしない」
「でも……、」
「さっきから、噂、噂って……孝太は噂を鵜呑みにするの?
ミツの事、知らないのに、なんでそんな風に悪く言うの?」
「……」
「あたしは、知ってる。
ミツがどんなヤツか知ってるから……、だから、そんな風に悪く言われるの、許せない」
「明日香……」
「ミツは、わがままだし偉そうだけど……、ムカつく時もあるけど、でも優しいもん」
小さい頃から、いつだって。
分かりにくい優しさで、あたしを包んでくれてた。
だから、安心してミツの悪口ばっかり言ってられたのに……。
ずっと気付けなかった。