王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「ミツは、あたしの事、大切にしてくれてる」
いつだって、ケンカを引き上げてくれるのはミツだった。
あたしが何を言っても本気で怒ったりしない。
翌日には笑ってまたくだらない事言ってきてくれる。
そんなミツの隣だから、あたしはいつも笑えてたんだ。
いつもいつも、あったかい気持ちで包んでくれてたから。
ミツがいたから。
だから、“あたし”でいられたのに。
ずっと、気付けなかった。
「危ない時には助けてくれるし、いつも傍にいてくれるもんっ!
だてに“王子様”とか言われてるわけじゃないんだから!
ピンチの時にはいっつも助けにきてくれる、―――……」
ホンモノの、王子様だ。
言おうとした瞬間、屋上のドアがバン!と勢いよく開いた。