王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「―――“王子様”とか、おまえまで言い出すなよな」
「……」
ミツの顔が見られない。
っていうか、いつから聞かれてた?
ぐりん、と思いっきり顔ごと逸らすと、隣まで歩いてきたミツがあたしの肩をぐいっと抱いた。
あまりの行動にびっくりして見上げると、ミツは孝太を見下ろしていて。
ぐっと強く抱き寄せられたせいで、ミツの胸に顔がくっつく。
ミツの心臓は、異常なくらいに速く動いてた。
息切れもしてるけど……、どうしたんだろ。
「悪いけど、こいつ、俺のだから」
“悪いけど”って言う割には、なんにも悪びれずに言ったミツをぼう然と見上げてからハっとする。
「俺のって……っ、モノ扱いするのとか、バカにしてたじゃん!」
「愛があればいいって言ったの、おまえだろ」
「愛なんか全然感じなかったもん!」
「おまえが鈍感すぎんだろっ! おまえが読んでる小説の主人公もたいがい鈍いけど、おまえも鈍すぎだろ。
……つーか、ちょっとおまえは黙ってろ」