王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
やっと呼吸の整ったミツが、しかめっ面で言う。
仕方なく黙ると、ミツは孝太と向き直った。
そして、あたしと言い合ってたのとは違う声のトーンで言う。
落ち着いていて、大人の男って意識しちゃうような声で。
「悪い、村上。俺、こいつなしの世界とか、無理だし考えたくもない。
今まで、明日香じゃなきゃダメなのが自分でも不思議であがいてたけど……やっぱ、渡せねーや」
少しだけ頭を下げたミツ。
びっくりしすぎてミツの横顔から目が離せなくなっていると、急に立ち上がった孝太が、あたし達を見て呆れたように笑った。
「明日香にもハッキリ振られたところ。
“ミツをバカにしないで”って。
そんなに想い合ってるなら、さっさとくっついとけよ」
「ホント、勘弁して欲しい」って笑った孝太。
ドアに向って歩いていく孝太の後ろ姿を見ていたら、急に罪悪感が湧いてきて、孝太に叫ぶ。
「孝太っ、ごめんね! 好きって言ってくれてありがとうっ」
孝太は身体半分だけ振り返って、「俺の方こそ、崎本を悪く言ってごめん」って言った。
そして。