王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「あのキーホルダーは俺じゃないから」
「え……、」
「また授業で」
そう言った孝太が、ドアを開けて出て行く。
振った事に対する罪悪感からなのか、やけに気持ちが落ち込んじゃって、そのままドアを眺めていた。
けど、目の前が突然真っ白になるから。
あたしの前に回りこんで視界を塞いだミツを、ゆっくりと見上げた。
「なに、他の男見てんだよ。未練でもあんの?」
「……ないよ。っていうか、なんでミツここにいるの?
あたし、ひかりにも行き場所教えてなかったのに」
「……なんとなく来ただけ」
「あたしの事、探し回ってくれてたの?」
聞くと、ミツは目を逸らしてぷいっと顔を背ける。
「別に。たまたまだろ」
「マラソン大会のレース直後くらい息きらしてたじゃん」
「だから、」
「……林檎うさぎのキーホルダー、ミツがくれたの?」
「……さぁ」
「そういう事するのは小説の中だけだって、キザだって言ってたのに?」