王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
驚いて振り向くと、そこには涼しい顔したミツの姿。
あっという間に背後を取られた。
「別にミツの事じゃないもん。自意識過剰男」
「言っておくけど、乾杯女じゃなくて、完敗だから。
16にもなって恋する相手は小説の中。実際には告白してくれる男もいないって寂しすぎだろ」
「―――あ、なんだ。明日香まだ話してないの? 村上の事」
ミツの言葉にカっとしたあたしを止めたのは、ひかりの一言。
ミツには言ってないし言うつもりもなかったから、それをアイコンタクトでひかりに伝える。
けど、聞き逃さなかったミツは、軽く首を傾げながらひかりに聞く。
「村上?」
「あー、うん。言ってもいい? 明日香」
「ダメ……んーっ!?」
後ろからミツが口を塞いでくるから、なんとかはがそうとするのに……。
無理だ。
小さい頃はあたしの方が力持ちだったのに!
なんで男の方が力が強いんだろ。
こんな暴君に力なんか与えたら、あたしみたいな被害者が出るのなんか分かりきってるのに!