王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
手の中のキーホルダーを見つめながら聞く。
見上げると、ミツはバツが悪そうに、髪をくしゃっとかいた。
「うるせぇな。おまえこそなんで村上断わったりしたんだよ。
好きなヤツでもいんの?」
じっと睨みつけるように見られて、負けじと見つめ返す。
「ミツこそ、なんで止めにきたの?」
「別に意味なんかねーし」
「あた、あたしの事、好きで好きで仕方ないから……?
言ってたもんね、こないだ。その……大切にしてるとか、そんな事」
先手を打ってやれって思って言ったのに、緊張しすぎてろくに話せない。
それどころか、言ったあたしの方が恥ずかしくなってきて顔が熱を持つ。
それをミツに悟られたくなくて両手で隠すと、意外な言葉が上から降ってきた。
「……好きだよ」
一瞬、理解できなかった。
赤かったはずの顔もしゅうって熱をなくしていくほどびっくりして、ミツを見上げる。