王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
「おかしいだろ。色んな女から告られてんのに、全然気持ちが動かねーし。
色っぽい女だとか、素直で順々そーな子とか……、周りのヤツに『おかしいんじゃねーの?』とか言われるくらい、誰にも興味が湧かねーし」
「そんなのあたしのせいじゃ、」
「なのに、明日香の声とか、仕草とか、歩き方とか。
そんなんにいちいち反応して、疲れんだよ。
おまえがつっかかってくんのも、俺だけにこんななんだって思うと嬉しくて言い返せなくなりそうになるし。
なんかもー、本当にやんなる」
髪にくしゃっと指を差し込んだミツが、ドカって隣に座る。
すねてるような、不貞腐れてるような横顔は小さい頃から変わらなくて、なんかすごく可愛く見えた。
ミツなのに。
ミツなのに……、可愛くて、カッコよく見えた。
なんだか分からない、あったかい感情が溢れてくる。
ミツを見てるだけで、ほかほかしてくる。
じっと見つめていると、こっちを見たミツが、不貞腐れた顔のまま言った。
「自分でも不思議なくらい、明日香じゃなきゃダメなんだ。もう、ずっと前から」
「……あたしも」
素直に白状すると、ミツが困り顔で笑う。
「生まれる前とかに、頭になんか埋め込まれたんだろーな、これ。
仕組まれてるとしか思えねーし」
「……同感」