王子様の恋愛事情【LOVEドロップス企画作品】
自分からバラしちゃった事にハっとしながらミツを睨む。
ミツだったら絶対にこの後色々ボカスカ言ってくると思ったから、先に睨んで牽制攻撃。
……と、思ったのに。
意外にはミツは何も言わずに黙り込む。
そして、じっとあたしを見た後、背中を向けて教室を出て行った。
本当にぷいって音がしそうなくらいに顔を背けて。
なにあれ。拍子抜け。
「あーあ。明日香が村上の事名前で呼んだりするから。すねちゃったんじゃない?」
ミツが出て行ったドアを見ながら、ひかりが言う。
「誰が?」
「王子様」
「……ミツの事? その呼び方絶対におかしいと思うんだけど」
「明日香に対してはね。でも、外見とか文武両道なとことか、完璧王子様じゃん。
演劇部とか入って本当に王子様役とかやったら、お客がすっごい入りそうだよねー。
来年の文化祭、うちの出し物演劇にして充くんにやらせない?
売り上げ一位取れるかも」