たまには、こんな日も
「実里」


未だに布団を頭から被っている実里に声をかけ、布団をめくる。


眠いと駄々をこねる実里の体を起こし、唇に桃を当てた。


それをゆっくりと咀嚼し、飲み込む実里。


何回か食べさせたあと、もういらないと首を横に振られた。


まあ、少しだけでも食べられたからいいか。


器を置いて、もう一度実里の額に手を当ててみる。


やっぱり、熱いな。


「病院行くか?」


「ううん」


その返事に、市販の薬を飲ませ実里を寝かせた。


氷枕を敷いてやると、実里は気持ち良さそうに目を細めた。


この様子だと、明日も明後日も熱は下がらないかもな。


ほんとは仕事をしに会社に行こうと思ったけど、実里を一人に出来ないから家にいるようにするか。


会社は行かないと答えると、実里は嬉しそうに笑った。
< 16 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop