本当の君

「エル、君の考えていることは今の俺には全て解る。……君には本当の姿を見せたことがなかったね」

「………うん」

「今から本当の自分の姿になるよ」

「…えっ?……忘れたんじゃなかったの?」

「…あれはウソ。……忘れてないさ。それに君の姿のままキスして欲しくないだろ?」

私の顔した彼が妖しく笑う。

瞳が光った。

「…確かに嫌だけど……。なんでウソなんかついたの?」

「……気まぐれ、かな」

気まぐれ…………。

「まぁいいじゃないか。済んだことなんだから。……じゃあ、脱皮?するから、ココで待ってて」

「嫌よ。…離れたくない」

「君は自分の顔が剥がれる姿がみたいのかい?……脱いでる自分が言うのもなんだけど、グロいよ?」

「リオのことはなんでも知りたいの」

「エル……。君ってヤツは強情だな。……エルには見せたくないんだ。他の人に化けてるときにまた見せるよ。……それでどう?」

「わかったわ」




< 25 / 35 >

この作品をシェア

pagetop