架空の城塞
城塞システム
　ザカーエッジは、ＳＤＤアウトしてきた迎撃ユニットを最初の一斉射で撃破した。それは情報共有による正確な狙撃だった。

　そのまま最大戦速で加速。

　ＳＤＤ臨界速度で、星系外縁部から低次エネルギー空間にダウンロードした。

　それに呼応するように、航宙母艦のファイフウが星系の北天頂方向から、カルゼル３艦が南天頂方向からステルスモードを破棄して、ＳＤＤイン。

　三方向から、一気に目標宙域に侵攻を開始した。

　その様子をリアルタイムにジナスは把握し、その情報は全艦隊に共有配信されていた。

　ジナスのシステム管理人ベイグは、一気に増えた情報共有量に余裕を持って対応していた。

　本来、城塞システムは今回のような特殊編成の小規模艦隊ではなく、正規の１個艦隊に対応して設計されている。

　だが、実戦投入は今回が初めてであった。

　その為、どれだけシステム管理人に負荷が掛かるのかは不明だ。

　現在の所、負荷は問題にならない程度だ。

　城塞システムの最終的な構想は、複数のジナス級をリンクさせ、複数の艦隊を銀河系内どこにいても１艦の様に運用出来ることである。

　ジナス級は電子戦艦というより、城塞システムによる指揮艦を目指して設計されている。

　すでに第５公転軌道上にある小惑星帯周辺宙域では、敵防衛艦隊との交戦が始まっていた。

　ベイグはそこから得られる生の戦闘情報を滑らかに選別し、再配信していった。

　ファイフウの艦載攻撃機１機が敵の迎撃機に囲まれている。

　即座に付近のデバイスを検索。

　ザカーエッジの艦載防衛兵器の１基のスケジュールに０．５秒の空きがあった。

　そのまま攻撃機の支援砲撃を指示。

　重粒子ビームが敵迎撃機へ火器管制レーダーすら起動せず、ベイグからの情報で狙撃した。

　２連射で２機を撃墜。

　囲まれていた艦載攻撃機は、そのまま逃げ切り、敵巡洋艦に艦首レイルガンを連続斉射。

　ベイグはそれを更に支援して、レイルガンの斉射に合わせるように、他の手すきの攻撃機２機に支援攻撃を指示していた。

　２方向からのレイルガンと、ブラスターの攻撃により、巡洋艦は撃破された。

　次々とそんな状況が生まれ、次の攻撃に繋がって行く。
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