架空の城塞
『スラッド艦長』
『どうしたのベイグ』
『確かめたい事があるの。このログを確認してもらえるかしら』
そう言ってベイグはスラッドの記憶野に最新の戦闘ログを回した。
リアルタイムで変化するログは、慣れないと記憶酔いする。
『ふむ、順調に作戦は消化されてるな。これがどうかしたか』
『何かがおかしいのだけれど、情報空間上ではそれが確認出来ないの』
『ほう』
スラッドは興味深げに応えた。
城塞システムが完全無人化されず、無人化よりも効率が悪いとされるシステム管理人を組み込んだのは、こういう時のためであった。
人の勘と言うのは時として、矛盾でない矛盾を感じる事がある。
人工知性体と言うのは矛盾を理解出来たとしても、うまく情報の辻褄を合わせて整合してしまう。
特に、マン/マシン・シンクロニティに特化しているクワーテッド種のベイグはシステムの情報の流れを感覚的に感じる事が出来る。
その彼女が違和感を感じると言う事は、情報の流れが、どこかで何かを辻褄合わせしている可能性がある。
最も懸念されるのは外部からの侵入による情報の改竄だ。
だが、敵の艦隊には電子戦艦は見当たらない。
勿論、専用の情報処理艦が居ないからと言って、敵からの情報空間上の攻撃が無い訳では無い。現に今も敵からのサイバーアタックを掛けられている。
だが、城塞システムの防壁はそう簡単には破る事は出来ない。
殆どのアタックは防壁手前で弾かれていた。
防壁はスラッドを始めとする艦橋要員達によって、リアルサイド、サイバーサイド両面で運用していた。
ベイグがその能力の殆どを艦隊の戦闘に使えるのは、スラッド達が情報防御面を担っているからだ。
スラッドはざっと戦闘ログを走査する。
大きな矛盾は感じられない。
だが、何かが引っかかった。
ログをそのまま仮想戦術機構に掛けて、戦闘を再現させる。
512回再現して、スラッドはそれに気付いた。
『どうしたのベイグ』
『確かめたい事があるの。このログを確認してもらえるかしら』
そう言ってベイグはスラッドの記憶野に最新の戦闘ログを回した。
リアルタイムで変化するログは、慣れないと記憶酔いする。
『ふむ、順調に作戦は消化されてるな。これがどうかしたか』
『何かがおかしいのだけれど、情報空間上ではそれが確認出来ないの』
『ほう』
スラッドは興味深げに応えた。
城塞システムが完全無人化されず、無人化よりも効率が悪いとされるシステム管理人を組み込んだのは、こういう時のためであった。
人の勘と言うのは時として、矛盾でない矛盾を感じる事がある。
人工知性体と言うのは矛盾を理解出来たとしても、うまく情報の辻褄を合わせて整合してしまう。
特に、マン/マシン・シンクロニティに特化しているクワーテッド種のベイグはシステムの情報の流れを感覚的に感じる事が出来る。
その彼女が違和感を感じると言う事は、情報の流れが、どこかで何かを辻褄合わせしている可能性がある。
最も懸念されるのは外部からの侵入による情報の改竄だ。
だが、敵の艦隊には電子戦艦は見当たらない。
勿論、専用の情報処理艦が居ないからと言って、敵からの情報空間上の攻撃が無い訳では無い。現に今も敵からのサイバーアタックを掛けられている。
だが、城塞システムの防壁はそう簡単には破る事は出来ない。
殆どのアタックは防壁手前で弾かれていた。
防壁はスラッドを始めとする艦橋要員達によって、リアルサイド、サイバーサイド両面で運用していた。
ベイグがその能力の殆どを艦隊の戦闘に使えるのは、スラッド達が情報防御面を担っているからだ。
スラッドはざっと戦闘ログを走査する。
大きな矛盾は感じられない。
だが、何かが引っかかった。
ログをそのまま仮想戦術機構に掛けて、戦闘を再現させる。
512回再現して、スラッドはそれに気付いた。