妖怪外伝百鬼夜行
阿弥樫高校には七不思議があった。

そんなに珍しいものでもない。
どこにでもあるありきたりな七不思議。生徒に知られているのは主に六つ。

『トイレの花子さん』
三階の女子トイレ、そこの奥から二番目の個室に、いるそうだ。

『彷徨いの音楽室』
夜中に誰もいないはず、鍵も閉めたはずの音楽室からピアノの音が聞こえる。

『蒼い火紅い火』
蒼い人魂と紅い人魂が、並んで浮かぶことが夜中にたまにある。

『開かずのシャワー室』
鍵が壊れて開かないはずのシャワー室、たまにドアの周りが濡れている。

『嘆きの声』
夜中に、女のすすり泣きが聞こえてくる。

『戻る絵画』
美術室に乱雑に置かれた絵。廃棄を繰り返しても、次の日には美術室に置かれている。

七つ目は、誰も知らない。
ただ、七つ目が分かった時、数日もたたない間に、その人は消える。


珍しくもないはずが、実際に突然の転校が多く、行方不明になった生徒も少ないがいる。
その事実が、なんでもない七不思議にリアリティを持たせ、

オカルト好きの生徒はたびたび調査を行おうとしている。
学校側は、七不思議のすべてを否定している。霊的な物ではない。誰かのイタズラだ。
それが学校側の意見だった。

だがしかし、阿弥樫高校には霊がすみついているはずである。
イタズラでは言いきれない現象、数々の体験者、目撃証言もある。

近いうちに阿弥樫高校を取材し、その謎を解き明かし、霊と対面したく思う。



――オカルト記者室井の取材メモから引用。
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