風が強い日に
「ほら!!白ちゃんに似てるわぁ〜」
あたしの姿を見てまた言ってる池田さん。
「おばぁちゃん、
おじぃちゃんが呼んでたよ」
「そぅかい、じゃぁお店頼むよ」
「うん」
って言ってもお客さん来るのかなぁ?
さっきまでいた池田さんは
おばぁちゃんにお土産持ってきただけだし
お客さん、来るのかな…?
あたしの家は長年続いている甘味屋。
・・・・
おばぁちゃんが甘味屋の9代目。
お母さんは嫁いだからここは継いでない。
替わりに煎茶を出している。
おばぁちゃんは抹茶と和菓子を作っている。
あたしはこの2つを覚えないといけないんだ。
っていうか、
この家は覚えないといけない事が多すぎる。
この町と言った方がいいかもしれない。
ここ『篠杉浦』は老舗の多い町だ。
その中にあたしの家も含まれている。
五月の家も、蜜柑の家も老舗だ。
和風な家や道が続き、
長い文化のある町だ。
あたしはここの娘として10代目候補。
5つ違いの兄も
おじぃちゃんの方を継いだ。
でも、あたしは継ぎたくない…。