風が強い日に
「あたしもあるよ。
梅雨のときとか特に」
「あぁわかる(笑)」
「………。」
「………。」
「…………。」
「………のる?」
「へっ?」
「チャリ、後ろ、乗る?」
「っえっ!?」
「送ってくよ。
家の手伝いあるでしょ?」
「あっぁ、あ、うん!!」
「じゃぁ後ろ乗せる」
そぅ言って東くんは笑ったんだ。
「早く乗る!!」
「わっ」
あたしが持っていた紙袋を
籠に入れて自転車の後ろを軽く叩いた。
「山の方だよね。家」
「あっうん!!」
何で知ってるんだろ……。
―――あ…。
【雛】だからか……。
東くんの自転車は、
あたしと東くんを乗せて走り始めた。