風が強い日に
「ぁ、あの、ありがとぅ…」
「いーよ。」
前を向いていて表情が見えないのに不思議。
東くんが笑ってるのがわかる……。
「雛形さんてよく店の手伝いしてんの?」
「あ、ほとんどかな…。東くんは?」
「俺もだなー」
「いいの……?」
「ん?」
「寄り道しで…。」
「あーいいの。よくあるし」
明るい東くんが
初めて難しい表情を見せた。
難しい声の表情…。
悲しいのか苦しいのか……。
何かと何かが混ざったような、
難しい声をしていた。
「東くん家のお菓子ね、
時々部活で使ってるんだよ」
「へー。何部?」
「抹茶部だよ」
「そんなのあるんだ。親父に言っとくわ」
「うん」
「【雛】は使わないの?」
「あ、【雛】も【東】も両方使うの!!
先生が、あたしがいるから
【雛】ばかり使うのはよくないって……」
「そっか!!」