風が強い日に
もちろんあたしもビックリしている。
目の前にいた男の子も
目を少し見開いて驚いていた。
「あぁ!!ごめんねぇ…」
「あっいえ!!」
わざとじゃないんだし、
おばぁちゃん家まで近いんだし
大丈夫。
「本当にごめんねぇ」
「いぇ大丈…くしゅんっ」
くしゃみした瞬間、
ゾクッとした感覚がした。
思えば季節の変わり目の9月だ。
風も強いし冷たい。
「ごめ――「大丈夫?」」
目の前の老婆の言葉を遮って
後ろにいた男の子が言った。
「ずぶ濡れじゃん。
これ使って」
って言って鞄から
タオルを出してあたしに投げた。
「わっえっ!?」
「でも――…」
いいのかな…??
「それ、いらないからいいよ」
そぅ言って
跨っていた自転車に乗って
どこかに行ってしまった…。
「あっ………。」