叶わなくても
「どうしたの?詩織」

「仲良いなぁと、思って・・・」

「はぁ?」

「はぁ?」

「あたし、親の都合で転校ばっかりしてるから、身近に幼馴染とかいなくて・・・」

「詩織、幼馴染は無理だけど親友ならいけるよ?ねっ?聖也」

「おう」

「二人とも、ありがとう」

「っていうことで、町の案内でもしましょうか?」


「うん」


「どこ行きたい?」

「ケーキ屋さん」

「げっ」

「えっどうしたの?聖也」

「あっ忘れてた聖也甘いもの無理だった」

「忘れてんな!!」

嘘だよ。

本当は、忘れてなんかいない。

ただ、素直になればいいだけ。

でも、その【ただ】が、聖也の前では【ただ】じゃなくなる。

「俺も行くわ せっかくだし」

「とか、言いつつもいっつもついて来てくれるじゃん」

「うっせ」

「まぁまぁ」

「でも、行くならあそこだよね?」

「たしかに」

「クローバー」

「クローバー」

「そんなに、美味しいの?」

「おう 俺も、ケーキ食わねぇけどコーヒーは、マジ美味い」

「そうなんだ」

「うん」

「そこでいいよね」

「うん」

少し歩くと、着いた店。





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