叶わなくても
でもね、

もし、

もしも、

聖也があたしを選んでくれたら、嬉しいな・・・と思う。

それまで、待ってる。

聖也の気持ちを知るまであたしは、待ってる。





そう、書いた手紙をあたしは封筒に入れて勉強机にしまう。

いつか、詩織が帰ってきた時この時は、こういう気持ちだったって言うのを知ってほしい。



いつか、詩織に渡せるように祈って・・・


「なぁ、詩織がいなくなってから一年近く経ったな・・・」

「うん」

「今頃どうしてるんだろうな」

「だね」

「俺さ、このまま詩織が帰ってこなかったらさ・・・羽衣を・・・」

「あたしを・・・?」

「ううん やっぱいい」

聖也が何を言おうとしたかは、わからない。

でも、あたしと聖也は詩織を待つ。



ずっと・・・
< 58 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop