渚
―――5年前
よく、2人でチャリに乗った
「どこ行く?」
「浩くんの地元」
「えー…遠いよ?」
「いいの!」
後ろに、澪が座って
俺の腰に手を回す
温度が伝わって、温かい
初カノだった
何もかもが初めてで、新鮮だった
どうしたらいいのかさえも知らない
自転車に乗って、多分30分ぐらいは経った
「浩くんの地元遠いね」
「言ったじゃん」
「会話もなくなるしね」
「…だね」
澪って、結構自由人
思ったことはストレートに言う
掴めそうで、掴めない人
いつも、ふわっとしていて、
泡みたい
ま、そんな可愛げのある性格じゃないんだけど