不思議な国のありす
お茶はいかが?
チェシャ猫のせいで白ウサギを見失ってしまった。
「どぉすんだよ」
『ウサギが導き猫が惑わす』
「これじゃただの迷子じゃねぇか」
溜め息がでる。
帰る方法もわからないのに行くべき所もわからないなんて。
「ウサギ野郎も気付けよ」
ぶつぶつ言いながらあてもなく歩いていると、何やら先の方から話し声が聴こえてくる。
「………リスが…」
「…女オウ…の…ムニャムニャ…」
(リスと女王?)
声からすると二人。
子供の声と……酷く眠そうな声。
眠そうな…声?
思い当たることがあり足早に声のする方へ向かう。
「いやぁ〜今日のお茶も美味しいねぇ♪」
「ムニャ…ケーキ……マフィン………」
「お茶のおかわりはいかがかな眠りネズミ」
「クッ……キー」
「次はアールグレイなんてどうだろう」
花のアーチをくぐると、ぶかぶかのシルクハットで顔全体が隠れてしまっている幼稚園児くらいの子供がティーカップの中で眠るネズミに話し掛けていた。