不思議な国のありす
ロッカーからこんにちは


部活動終わり
さぁ帰るぞ、とロッカーを開けると…………


『ワタシを飲んで』


中には見覚えのない……

「栄養ドリンク?」

メッセージカードにはご丁寧にハァトマーク付き。

「誰だ?」

どうせ飯塚か高橋辺りだろう
そう思って手に取って蓋を捻る。
一気に飲み干した瞬間…………

「っ!?まっじぃ!!!」

まさか腐ってんじゃねぇよな、と口をおさえて吐き気に耐えていると突然くらりと目眩がした。

次の瞬間、

バタンっ!!
何かが閉まる音と共に視界が闇に染まる。

「はっ!?停電か?」

いや、目の前にはロッカーと背後には窓の狭い部室だ、夜ならまだしもまだ夕方、電気が消えたとしてもこんなに暗くなるわけない。

手を伸ばしてみると錆び付いた薄い鉄の感触。

「ロッカー……だよな」

さっきの音はロッカーの閉まる音だったようだ。
目の前にはロッカーがある。ならば後ろには夕日の射し込む窓がなければいけない、はず。

ゆっくり、ゆっくり振り返ると…………





< 2 / 31 >

この作品をシェア

pagetop