不思議な国のありす
「ごめんなさい、私……」
瞳に涙をためて俯くリリー。
「だから!もぉいいって」
さっきから何度目かの同じやり取りに苦笑しか出てこなくなっていた。
「そうよリリー」
励ますようにかけられた言葉は
「貴女は方向音痴なんだから今さら気にすることじゃないわ」
さらりと言われた言葉は自分に向けてじゃなくとも酷く傷ついた。
「おいおい、何も今そんなこと言わなくても」
「ウッ…ごめ、なさ……」
突然しゃがみ込んでしまう姉リリー。
あーもぉ〜
「いいって!なっ?ほら立って案内してくれよ」
屈んで話しかけるが彼女の涙は止まらないらしい。
「………はぁ、マリー?」
「何かしら」
立ち上がり涙を拭うマリー。
「リリーはちょっと休ませてさ、マリーが案内してくれよ」
すると暫く考えるマリー。
考えるのかよ、おい
「いいわ、リリーは少し休んでなさい」
返事は返ってこなかったがどうやらそれで落ち着いたらしい。
「行くわよ、アリス」
さっさと踵を返して歩いて行ってしまうマリー。
「あっ!ちょっと待てよ!!」