不思議な国のありす
ハートの城にはご用心
「ここよ」
鬱蒼と茂る森の中を延々と歩くとやっと拓けた場所に出た。
「うわ〜、マジっすか」
目の前には想像を絶する程の城。
何が想像を絶するかというと………
「………お化け屋敷、じゃあ……ないよな?」
目の前には巨大なお化け屋敷、もといハートの城が聳えたっていた。
何故、お化け屋敷か。
外観が既に怖い。
所々に蔦が這い、怪しい色をしたバラが咲いている。
(赤に黒に紫に……青いバラってあるのかよ?)
しかし、手入れは行き届いているのか、芝生は切り揃えられ青々と茂っている。
更に、門扉には死神を思わせるような巨大な鎌がモチーフに吊るされていた。
怖い。
城の周りをどす黒いオーラが渦巻いているようだ。
実際はそんな物見えないが。
だが、何か人を寄せ付けないような雰囲気を感じる。
「さぁ、行くわよアリス」
「えっ!ちょっ、待てよ、オイ!!」
マリーはさもこれが普通と言わんばかりに巨大な鎌の下をくぐり抜け敷地内に足を踏み入れた。