不思議な国のありす


「夢……だろ?」

とりあえずもう一度確認しておく。

「いいえ、現実ですね」

目の前のいかにも怪しい男は笑顔で答える。


………いかん、キレそうだ

「わかった、現実でもいい。なら早く帰してくれ」

俺は帰って今夜のサッカーの試合を見ないといけない。

「無理です」

これまた腹の立つくらいニッコリ。

「ふざけんな!!元の場所に帰しやがれクソうさぎ野郎!!」

「そんなこと言われても貴方が勝手に入り込んだんでしょう?アリス」

「だから俺はアリスじゃねぇ!!ってかさっきと言ってること違うじゃねぇか!!」

こいつが言った通りならあのクソ不味な飲み物飲まして連れて来られたんだろ!?

「あの特製ドリンクを飲むかどうかは貴方次第です」



こんなこと思うのは生まれて初めてかもしれない。


(なんだろう……ものすごく母さんに会いたくなった)





< 7 / 31 >

この作品をシェア

pagetop