不思議な国のありす
チェシャ猫現る
「なら人違いだ、帰してくれ」
なんならその眠りネズミとやらの目を覚まさしてから帰ってやる。
「ですから、先程も申し上げた通り無理です」
「なんでだよ」
「一通りアリスの仕事をこなして頂きませんと」
なんで勝手に連れて来られて仕事せにゃならんのだ。
「なんだよ、仕事って」
「ほら!!早く走ってください!!遅刻しちゃいますから!!」
なんだこれは。
数メートル先に白ウサギ、それを追いかける俺。
あぁ、あれか。白ウサギをアリスが追いかけて行くってやつか…………
「ってふざけんな!!てめぇさっきまで悠長に話してやがっただろ!!」
白ウサギが振り返らずに手元の時計を見ながら答える。
「だから急いでるんでしょう」
なんだ!?何でこんなにイラつくんだ!?
「おや、あんたが今回のアリスかい?」
大きな木の近くを通りかかった所で声を掛けられた。見るとそこには
「………なんだありゃ」
輪郭のない只の空間で目と口が笑っている。
「久しぶり、いや初めましてだねアリス」
なんだっけ、えっと
「チェシャ猫?」
現れたのは紫とピンクの縞模様の不気味な猫だった。