極恋~天然陰陽師娘と俺様極道の若~
雪帆は自分の容姿については誰よりも理解していた。


あの両親にあの兄がいるのだ。


実は自分は日向の子じゃないと言われない限り理解しないはずがなかった。


あのメガネと三つ編みも決して術を使ってはいけない人間に対してのものだと分かっている。


それを、今更祖父が解禁した理由は分からないが、そうだとしても蓮は昔から実際の自分を見てきているのだ。


今更本当の姿をさらしたとて、自分に心を動かされたりはしないだろう。


遊び・・・


前に鬼女の取り巻きに言われた言葉が胸を突き刺す。


悲しくて、蓮の体を押し返そうとしたとき、唇が離れる。


さんざん犯された口内が突然自由になったことがなんだか寂しい。


教室に帰ろうと思ったとき、蓮に抱きしめられた。


また・・勘違いしてしまう。


だけど、蓮の口から出てきた言葉に信じられなくなる。





「雪帆・・・・・好きだ」





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