極恋~天然陰陽師娘と俺様極道の若~
蓮が迎えに来てくれる約束だ。


急いで門まで行くと、人影が見えた。



「蓮!ごめ・・・!」



近寄ったとたんあたしの心臓が大きく跳ねた。


黒い浴衣姿の蓮がいたから。



「れ、蓮・・浴衣」


「ん?あー着ていけってうるせーんだ。クソババアが・・・ってお前・・」


「へ?何?へ、変?」



自分の浴衣姿のことを言っているんだと思って慌てる。


「・・・はぁ、浴衣着て来いなんて言うんじゃなかった・・・」



蓮の微かな声が聞こえてしまい、期待してた気持ちが砂のように崩れていった。


やっぱ、あたしには似合わないんだ・・・



「ほら、行くぞ・・・ってなんで泣きそうなんだよ・・・」


「だって、情けなくて。似合わないのに浮かれてたなんて・・・」


「違う。似合わないなんて思ってない。ああ言ったのは・・・」



蓮の言葉がとぎれる。


似合わないわけじゃないなら何なのか。


目を潤ませるあたしをよそに蓮が甘く笑う。



「かわいいから、他の男に見られたくなかったんだよ」



その言葉にさっきとは違う涙が出そうになる。

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