パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
親友の恋人に密かに想いを抱いていた姉貴。
その彼が、大失恋の末、遠いアメリカへ姿を消した。
だが、姉貴はまだその彼のことを忘れずにいる。
伝えられなかった想い。
なお更に募る想い。
ありえない?
いや、あり得えます。
あの姉貴なら。
「でもなんで、幼馴染みの恋人を捨ててデキチャッタ婚?」
「そりゃぁ……日下部家の七不思議の一つだ」
「七不思議って、他の六つは何なんだよ」
「これから追々な。
先ず二つめに、俺もこの度デキチャッタ婚と相成る」
「リュウ、今何て言った?」
「いやさ、デキチャッタんだよね、ミューにこれが」
と流は自分の腹を大きくなぞるように円を描いた。
「生みたいって、泣かれてよぉ」
でもなんだか彼、緊迫した状況の割には嬉しそうじゃありませんか。