パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
だから、怜ちゃんは、こういった古い骨董や伝説、みたいな物に懐疑的です。
無理もありません。
でも、生まれ育ったこの『無限堂』に彼女なりに愛着を感じているのも、また確かなことだと思うのです。
その証拠に、彼女は誰よりも、この『無限堂』の中にどんな物があって、それがいくらなのかということに通じています。
早い話、彼女がいなくてはこの『無限堂』は立ち行かないということですね。
「待たせてもらっていいかな」
「どうぞご勝手に」
この愛想ない態度も、恐らく演技、と僕は踏んでいます。
その証拠に、五分と経たない内に、湯気の立ち上る美味しい煎茶が出てくるからです。
「怜ちゃん、学校はどう?」
「どうって」
「彼氏とかできた?」
「まさか」
そんなくだらない会話にも、一応相槌を打ってくれる優しい子なのです。