パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
「シンくん、その水盤には細い線でペイズリーの模様が彫ってある?」
「あ、ええぇ、よくわかりますね」
電話を取って代わったのは、葵さんでした。
「黒光りした石で、凄く重い、でしょ?」
「まさにその通りです」
「間違いないわ、すぐに行きます。
下手にその水盤に手を触れないで」
そのまま電話は切れました。
呆気にとられて、呆然としていると、今度は僕の携帯に原口さんから電話がかかって来たようです。
「坂本くん、ナビを設定するんで、目的地の住所を教えてもらえるかな」
「あ、あぁ……そうですね」
僕は、側にあった電柱から、今僕らがいる住所を読み取って彼に伝えました。
「二十分ほどで着く」
どうやら、僕らはよほど緊迫した状況に置かれているようです。