パラレル・ワールド~君と僕の命の起源



「カナメ!」



と、これまた店から飛び出してきたのは彗さん。

慌てた様子も、たとえ髪振り乱していても、可愛い美しい人です。



「ゴメンなさい!

ほら、もう、なんでこう鉄砲玉みたいなのかなぁ」



純一郎くんに向かって大きく頭を下げて謝った彗さんは、顔を上げた時には薄っすらと目に涙を浮かべていました。

だって確か、要くんのお父さん、彗さんがデキチャッタ婚した源元(ミナモトゲン)さんは、交通事故であっけなく亡くなってしまったのだと聞いています。

要くんまで交通事故……

なんてやり切れませんよね。


「彗、ほら、もう大丈夫だったんだから……」


と、店の中から顔を出したのは、なんと姉貴。

な、なんで蓮がこんなところに出現してるのでしょう?


「あら、深も来てたんだ」


いやいや、確かにこの『無限堂』を最初に紹介してくれたのは、彗さんと姉の蓮でした。

二人とも古いものが好きで、骨董屋巡りが趣味なのです。


「今日、大きな蔵出しがあるって怜ちゃんから聞いてね。待ってたの」


この偶然も水盤の持つ不思議な力の成せる技、なのでしょうか?
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