パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
>『水盤』を覗く者
「あの……」
口火を切ったのは、姉蓮でした。
「その『水盤』を覗くことで、その……
現世において何か変化があるんですか?」
「ないわね」
「でも、その次元に引き寄せられることもある、って」
「あなた、何か勘違いなさってるようね。
はっきり言わせていただくわ。
あなたはこの『水盤』を覗く必要はない」
「そ、それは、覗く資格がない、ってことですか?」
「違うわよ、あなたの現世のこれからが、こんな間近に迫ってるっていうのに、そんな必要が何処にあるのよ。
ほら、誰か、もっと具体的に言ってあげなさいよ」
葵さんに促されて、蓮に向かって話始めたのは彗さんでした。