パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
「えっ、僕、ですか?」
驚いたって言ったら嘘になりますね。
「覗いてみたい、って顔に書いてある」
「えっ、ホントですか?」
慌てて顔に手を当てた僕を見て、葵さんがクスリと顔を綻ばせました。
「シンくんは、ホント真面目だね。
でも、その考え過ぎで頭でっかちなとこがちょっと玉に瑕(キズ)。
心で感じることも大切だよ」
何事も先ず考えて、納得してからでないと行動に移せない、僕の頑なな性格を見透かされているようでした。
「他に覗きたい人はいないみたいだし、シンくん覗いて見る?」
「えっ、マツヤマさんは? スイさんとか」
「わしはもう老い先短い身だしのぉ、この人生、やりたいこともやり尽くしたし、まぁ取り立てて不満も無いし」
「あ、わたしはいいのよ。
パラレルワールドには行ったことあるし。
それに……
そこを覗いたとしても、だからどうなるってことじゃないっていうのも良く分かってるし」
「ね!」
僕はまた、ゴクリと生唾を飲み込みます。