パラレル・ワールド~君と僕の命の起源


いや、それは確かに僕ではありましたが、姿形は今の僕とは違いました。


僕は女性で、それもかなり位の高い、美しいドレスを纏った貴族の女性のようでした。


「アンドレ」


僕が呼んだのは、傍らに跪く男でした。


「ミ・ロード」


そう言って、顔を上げたのは、風花でした。

いや、といっても、彼は美しい金髪の男性で、その瞳には僕に対する熱い想いが込められていました。


嗚呼、きっと、彼が葵さんが言っていた風花の前世、ドンファンで女に殺された男に違いありません。


彼は僕の、いや、その女性の手を取ると、その甲に熱いキスを落とします。


突然、僕の身体に熱い旋律が走りました。


僕はこの生で、貴族に生まれた縛りから逃れられず、彼の愛を受け入れることができませんでした。

そして彼、風花は、この僕の愛を手に入れることができない苦しみから、手当たり次第に女をくどいては抱き、その罪科から最後、嫉妬に狂った女に刺し殺されたのです。



場面はそこから暗転し、僕は暗いトンネルを、ただ真っ直ぐに進んでいきます。
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