パラレル・ワールド~君と僕の命の起源



光が見えた時、僕の目に映ったのは、蓮でした。



いや、正確には蓮ではなく、蓮の魂をもった女性。

彼女はどうやら、僕を生んだ母親のようでした。

優しく、慈しみ深い瞳が僕に注がれています。

蓮が毎晩、僕に歌って聴かせてくれた子守唄に似た調べも聞こえてきます。



と、そこへ、風花が現れました。



いえ、正確には、それは風花の魂をもった少年でした。

どうやら、彼は僕の友人のようです。

僕は少し成長し、彼と一緒に川で遊んでいます。

突然、彼の顔が苦痛で歪んでゆきます。

どうしたのでしょう?



どうやら僕は川で足を滑らせて、溺れてしまったらしいのです。

彼は一度僕の手を掴みましたが、川の流れの速さに負けて手を離してしまったのです。

これは、僕と蓮が母子だった生の記憶でしょうか。

僕は、溺れる僕の手を離し、苦痛で顔を歪めた風花のことが許せなかったのでしょうか。

蓮は、僕を失ったことが納得できずに、死ぬまで僕を探し続けたのでしょうか?



場面はまた、光に満たされてゆきます。
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