パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
>今を生きる
「シンくん?」
窓を背に立った彼女の顔は逆光で良く見えませんでしたが、それは確かに風花の声でした。
僕が感じたのは、安らぎと温かさ。
それはこの三日間感じていたのと同じ、母のお腹に宿る、そんな心地良さ。
「フウ……会いたかった」
「シンくん?」
「フウ……もっとこっちへ来て」
「や……シンくん、あたし……」
引き寄せた手は、とても冷たくて、風花がどれほど長い時間、この部屋で一人でいたのかを物語っているようでした。