パラレル・ワールド~君と僕の命の起源
今回の事件で、驚いたことに、一番慌てたのは葵さんだったのだそうです。
彼女は僕を水盤の向こうへ置いてきてしまったことに責任を感じて、まぁ、正確に言えば、僕の意識を水盤の向こうへ置いてきてしまったことに責任を感じて、必死の思いで風花を探してくれました。
何せ、僕は風花のことを親友の流にさえ告げずにいたのですから。
僕の想い人、風花のことを知る者は僕の身辺にはいなかったのです。
僕と風花の関係を薄々感ずいていたのは、同じ研究室の数人。
それも、僕らがこんなに深い関係だと知る者はいなかった筈です。
どうやって探したのかって?
後から聞いた話によれば、ナント、彼女は眠っている僕を透視したのだそうですよ。
僕が心の奥で呼んでいた風花の名前を読み取って、それらしき人物を洗い出し、研究室にまで推し掛けて、風花を探し出したという訳です。
恐れ入ります。
彼女は、僕がこの世に戻ってくる為には、風花の呼びかけが必要だとわかっていたんですね。
ありがたいことです。